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拓真は摘まんだ私の鼻を横に数回揺らして、クスリと笑う。そして手を離して、壇上を見やる。
「な、何だね、吉村君!」
「今、スクリーンに映し出されている書類に会社名は記載されてませんけど?」
「な……!」
皆が一斉にスクリーンを見つめた。発注書。勿論発注書だから発注先も記入されているのだが、そこには付箋紙が貼られて見えないようになっていた。
再び重役たちはヒソヒソと隣同士で話し始める。
「いや、文具や雑貨の類は黒岩物産に決まってるだろう、だからだ」
「そうですね、濱田常務」
拓真は意味ありげに濱田常務に相槌を打った。
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