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一回戦は非公開で、1年3組の生徒たちだけでおこなわれた。放課後の柔術場の窓にはカーテンが引かれ、全員思いおもいの格好(かっこう)で集まり、グループごとに距離をおいて畳に座っている。奥の壁からはズドンッ、ズドンッと迫撃砲を発射するような響きが足元を揺らしてきた。
ジャージ姿のクニが声を潜(ひそ)めていった。
「おい、あれ、だいじょぶか」
タツオの顔色は青くなっている。壁を揺らすのは、廊下で相撲部の後藤がコンクリートの壁に平手で鉄砲を繰り返す稽古(けいこ)をしているからだった。まともにくらえば、一発で意識が飛ぶだろう。なにせ体重が倍近くあるのだ。
「ぜんぜんだいじょぶじゃないよ」
タツオはその場を逃げ出したいくらいだった。ジョージは涼しい顔でいう。
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