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確かに言ったけれど、まさかほんとに覚えてくれていたなんて……
思わず笑みがこぼれた。
「嬉しいです」
「……」
「蕾斗さん?」
突然黙り込んだ蕾斗さんに、一抹の不安がわいて出てくる。
でも、蕾斗さんの口から出た言葉は予想を大きく反するものだった。
「やべぇ、理彩、可愛すぎ。キスしていい?」
えっ!?
一気に頬が熱くなる。
「理彩」
そう言って肩を抱き寄せ、ゆっくりと唇が重なった。
触れるだけのキス……
鼓動がトクンッと大きく跳ねる。
思わず左手で心臓の辺りの服をぎゅっと握った。
こんなに胸が痛くなるほど、人を好きになったのは初めて。
「理彩? どうした?」
「なんか、……ここが痛いです。ぎゅーってなる」
そう言ったとたん、蕾斗さんの顔が赤くなっていく。
「蕾斗さん?」
「理彩、それはわざと? 計算でやってんの? それともただの天然?」
どういう意味?
言っていることがわからない。
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