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「……蕾斗さんは、凄く近いところにいたんですね。それからは、毎日のように大学で蕾斗さんのことを見かけるようになって……」
あ、ヤバい。
見かけたときのあの胸の痛みを思い出して、涙が出そうになる。
「理彩?」
そんなあたしの顔を、蕾斗さんは心配そうに覗き込んできた。
でも今はあたしの気持ちを聞いてほしくて、さらに言葉を繋いでいく。
「いつも……女の人と、仲良さそうに腕を組んでいて、……“やっぱり蕾斗さんって噂どおりの人なんだ”って……」
あのときの気持ちがよみがえってきて、我慢していた涙が勢い良く溢れてきた。
「もう忘れようって合コン行って、知り合った人とデートみたいなことしたりして。……でもやっぱり、あたしは蕾斗さんが好きで……」
今は飲む気もないのに、コーヒーカップに手を伸ばして意味もなく触る。
「この間、電話をもらったとき、凄く嬉しかったです。今日もほんとは凄く楽しみにしていたんです。でもやっぱり……どこかで蕾斗さんのことを……信じられなくて」
「理彩」
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