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「理彩?」
「ごめんなさい。……やっぱり今日は……」
そう言って、蕾斗さんに背を向けた。
「待てって!」
けれど、足を踏み出す前に腕を掴まれた。
「何でそんなに警戒すんの?」
「そんなの、……蕾斗さんが一番わかっているんじゃないですか?」
自分が毎日毎晩何をしているのか……
「……」
「離して下さい」
「離さねぇ」
何で?
意味がわからない。
こんなことをされたら、ますます忘れられないじゃない。
我慢していた涙がぽろぽろと溢れてきた。
地面にぽたぽたと落ちて、黒いシミを作っていく。
「理彩?」
背を向けていたけれど、蕾斗さんがあたしの肩を掴んで振り向かせた。
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