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「何で泣いてんだよ」
掴んでいた腕をぐいっと引っ張られて、蕾斗さんの胸におさまった。
離れようと胸を押すけれど、蕾斗さんがぎゅっと抱き締めているから、離れられなくて。
なんでこんなこと……
「俺のことで、……何を知っている?」
えっ?
「何を知っていて、こんなに警戒してんだ?」
何を知っているって……そんなこと、訊くの?
「俺、理彩が好きだ」
えっ!?
今、『理彩が好きだ』って言わなかった?
予想外の言葉に動揺してしまったけれど、そんなはずはない。
蕾斗さんの胸に耳があたっているから、規則正しい鼓動と蕾斗さんのやさしい声が温かく聴こえる。
だからきっと、今のは聞き間違い……
あたしが都合よく聞き間違えたんだ。
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