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「理彩が、どこまで知ってんのかわかんねぇけど、……俺、ずっと女遊びばかりしていた」
何を、言い出すの?
せっかくの温かく聴こえる声が……
悲しくなりたくないっ。
「聞きたくない」
「……聞けって」
嫌だっ!
聞きたくないよ。
「でも俺、理彩と出会ってからできなくなった」
嘘ばっかり……
いつも女の人と腕を絡めて歩いているじゃん。
そんな話、信じられるわけがない。
「もう、いいです。離して下さい」
「だから、離さねぇって」
背中に回っている蕾斗さんの腕に力がこもった。
「電車で理彩を助けて、あのおっさんを警察に突き出すまでは、日常のひとこまだったんだ」
聞きたくないのに。
蕾斗さんの声に吸い込まれるように、耳を澄ましてしまう。
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