第一章

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 「で、頼みって何だ?」  「そうそう、そんな感じにフランクじゃなきゃあな」  それは分かったから本題に戻ろうよ。  「頼みたいのは、明日、初めてここから登校するんだが、この辺りの地理に疎くてな。すまないんだが一緒に学校まで行ってくれないか」  「はあ、まあいいけど」  学校へ一緒に行くくらいなら別に問題はない。  「じゃあよろしく頼むよ。明日の朝にまた、オヤスミっ」  ラン子は額に手を当て敬礼しながらそう言うとクルリと90度向きを変え101号室に戻っていった。俺はラン子が隣の部屋に入っていくのを確認した後、ドアを閉めて鍵をかけた。  いったい何だったんだ? 今日引っ越してきて寮に入ったってことは転校生か? こんな時期に? まあそれはいずれ分かるかな。
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