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ライオンのトモダチ
緑が多く生い茂る森の中ー。
一匹のライオンがおりました。
そのライオンはとても体が大きく、そして心優しいライオンでした。
ライオンは体が大きい事と鋭い牙があるせいで森の動物達から恐れられており、友達が欲しくても作る事が出来ません。
毎日毎日、森の動物達を怖がらせないよう体を出来るだけ小さく丸めてひっそりと生活をしていました。
そんなある日ー。
「ライオンさん、はじめまして!」
一匹のネコがライオンの目の前に現れました。
「僕はこの近くの森に住むネコさ。ライオンさん、よければ僕と友達になってくれないかい?」
そんなネコの申し出にライオンはとっても喜びました。
ずっと欲しかった友達、自分からではなく相手から言われた言葉。
ライオンは牙で怖がらせないよう無言で何度も何度も頷きました。
それからぎこちなくも二人は会話し日々を送り、段々と打ち解けあいライオンもネコの前で大きな体も鋭い牙も気にしないようになりました。
そんな日々を繰り返し送ったある日のことー。
「ライオンさん、ライオンさん。今日は僕とかくれんぼをしませんか?」
突然提案してきたネコに対してもライオンには断る理由もなく、今日はかくれんぼか、と笑顔で頷きました。
「僕が鬼をやりますよ。ライオンさんは隠れてください」
ライオンはまた頷き、数を数え始めたネコを背に急いで隠れる場所を探しました。
大きな体を持つライオン。
周りは木々や小さな草むらばかりでとても隠れられそうにありません。
どうしたものかと考えていると、もーいいかい?
森に木霊する大きな声が聞こえてきました。
まーだだよ!ライオンも伝わるように大きく声を出して急ぎ足で再び隠れる場所を探し出します。
ずんずんと木の間をすり抜け森深くまで進んだ先に大きなライオンでも入れそうな洞窟を見つけました。
ここなら隠れられる!そう考えたライオンは、もーいいよ!と大きな声で力一杯叫び、急いでその洞窟の中へと飛び入りました。
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