猫のウラギリ

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猫のウラギリ

ライオンが洞窟の中で1人ネコが来るのを待っている頃… ネコは数えるのをやめて洞窟近くでライオンの『もーいいよ』という合図を待っていました。 もーいいよ!そう洞窟の中から聞こえた瞬間沢山のネコや動物達が木の後ろから飛び出してきました。 「ついにこの時が来た。今日は我々の力で、この森から脅威を取り除こう!」 ネコの潜めた声に集まった沢山のネコや他の動物達は神妙な面持ちで頷きあいます。 森の脅威ーーそれはライオンの事でした。 日々怯えて暮らす小動物達は何もしてこないライオンに、いつ自分達は食べられてしまうのかと気が気ではありません。 そんな不安な日々に耐えられなくなった小動物がある考えを思いつきました。 そうだ、あの怖いライオンを閉じ込めてしまおう、とー。 森の奥深く行った場所には大きな洞窟がある。 そこに上手く誘導して大きな岩で塞いでしまえばライオンは出てこれないのでは。 そんな考えを思いついた動物、ネコは集まったネコやその他の動物達に言いました。 「自分が囮になりましょう。ライオンと友達になって、かくれんぼに誘います。そうすれば体の大きなライオンは自ずとあの洞窟へと入るのでは」 そう言ったネコは続けて事細かに作戦方法を伝えました。 「ライオンと友達になって油断させ、かくれんぼに誘い込みライオンが洞窟に隠れたのを“もーいいよ”の合図で確認した後に大きな岩を皆で動かして穴を塞いでしまいましょう。」 もうそれしか方法はない。 森の中にはライオンの味方はいません。 動物達はお互い頷きあって作戦の決行はいつするかと話し合いました。 そしてついに来た決行日。 上手く事が運び、ライオンからの合図を聞いた動物達は緊張したまま急いで大きな岩を力一杯押し出します。 ズズンッと大きな音をたてて動かされる岩。 ゆっくりと洞窟の穴へと射す光を小さくしていった動物達は時間をかけて完全に穴を塞いでしまいました。 動物達は脅威が去ったことを、自分達の力でやり遂げたことを大喜びしました。 もう怯えて暮らす必要はないのだとーー。 緑が多く生い茂る森の中ー。 一匹のライオンがおりました。 そのライオンはとても体が大きく、そして心優しいライオンでした。 怯えさせてばかりの自分に初めて出来た友達、ネコと初めてのかくれんぼをしたライオンは暗い洞窟の中、嬉しそうにいつまでもいつまでも友達を待ち続けましたとさ。 【END】
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