ささくれ

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ささくれ立った両の手の指を 剥がして切って膿んでしまう ささくれ立った両の手の指は 未だ叫び声と痛みが足りない 収まりの悪い親指と 痛みを知らない人差し指 意地でも臆せぬ中指に 唯一の良心は薬指 小指は必死に涙を誘う 足りないものなら解っていた その両の手が伸ばした先には 受け取る度に主張をしている 息吹と芽生えが朽ち果てた骸 何をするにも不自由に喘ぐ 君の言葉と絆創膏 安心感をくれないか 平穏が浸蝕される前に 季節を告げる風が吹いても 三度目だとて許せはしない 平気なだけで平気ではない 又握られるのを望んでいた ささくれ立った両の手の指を 剥がして切って膿んでしまう ささくれ立った両の手の指は 未だ叫び声と痛みが足りない 隠したい場所ほど晒されるから 分かち合うたびに押付けている
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