第1章

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玄関ドアをわざと音を立てて閉めると、まっすぐ寝室へ向かう。 案の定、彼女は顔をひきつらせながらも強気な表情でツンと澄ましていた。 でも、手は必死に身体を隠そうと焦っているのが可笑しい。 「おはよう、篠田君」 僅かに震える声。 その顔には俺をどうやって断ろうか、必死に頭を巡らせているのがありありと書いてある。 男には慣れていても、潔癖な彼女はこんな行きずりに近い状況には慣れていないのだろう。 「すみませんが服を着てもらえますか?人が来るので」 正確には来るんじゃなく、行くんだけど。それも昼から。 彼女も一刻も早くこの状況から逃げ出したいだろうし、事務的に片付ければいい。 でも、布団から覗く華奢な肩と剥き出しの腕だけで前夜の姿を思い出して理性が怪しくなってくる。 近づくのはまずい気がしたので、失礼ながらコンビニ袋を布団の上に放り投げた。 ポカンと口を開けた間抜けな顔が新鮮すぎて吹きそうになりながら部屋を出た。 ここで俺にベタベタされたら困るだろうに、やっぱり彼女はチヤホヤされることが大好きな女王様なのだ。
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