1:始まりと、マドレーヌ。

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そして それから10分ほど経った頃 学校の方からバス停へ向かってくる、人影が目に入った。 部活を終えた生徒だろうか。 ……にしても、少し遅い。 やがて その人影がバス停の照明の下に差し掛かって ふと、顔を上げた瞬間。 …………。 一瞬、声が出そうになってしまった。 そこにいたのが あの、サッカー部の、彼だったからだ。 私は 急に込み上げた緊張から 勢いよく下を向く。 けれど 自分がベンチの真ん中あたりを占領していた事に気付き 今度は慌てて立ち上がった。 その、時。 「わっ……!!」 地面に転がる、マドレーヌ。
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