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頭は混乱で真っ白になった。
ついさっき包装したばかりのマドレーヌが
紙袋ごとベンチから落下して
周りに錯乱している。
「やば……!」
私は慌てて立ち上がり、
片っ端から紙袋へ詰め始めた。
すると
サッカー部の彼がふと
無言で、自分の足元に転がったマドレーヌを数個拾う。
そして、私の持つ紙袋の中へ、注意深く入れてくれた。
「あっ……りがとうございま……す!」
緊張やら情けなさやらで
上手くお礼すらも言えない。
ずっと見ていた憧れの人に
いきなりこんな格好悪いところを見られてしまうなんて
最悪だ。
しかし彼は、私のお礼に軽く微笑むと
次を拾い始める。
「あの、だいじょぶなので……!ごめんなさい!!」
「いいよ、拾うよ」
「……っ」
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