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すると彼は
しばらく忙しない私の動きを呆然と見ていたかと思うと
ふいに、笑いだす。
「あはは!そんな慌てないでよ」
「す、すいませ……」
彼が笑うと
わずかに、八重歯が見えた。
こんなに近い所から彼の笑顔を見ることができるなんて
夢にも思わなくて、心臓はドキドキと鼓動を速めている。
だけど私はこんな状況の中
彼の笑顔にみとれてしまっていた。
すると。
「てか、それ、俺もらっていい?」
「え!?駄目です!!落としたし!」
私の手に所在無く握られたマドレーヌを
彼が指差す。
「いいよ、袋に入ってるじゃん」
「でも……!」
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