1:始まりと、マドレーヌ。

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初めての接触で 初めて会話できて しかも、自分の作ったお菓子を食べてもらえる又とない機会なのに 渡せるものが、よりによって落としたマドレーヌなんて 悲しすぎる。 でも 無邪気に笑う彼の笑顔に 私は おずおずと、右手に持ったままのマドレーヌを差し出した。 「ほんとー……に、いいんですか?」 「いいよ。俺実は甘いもの超好きで」 「え!!?」 「ヘン?」 「いえ!!!」 「うまそー、これ」 「……あの」 「うん?」 「また作ったら、も、貰ってくれますか……!?」 それは完全に、勢いだった。
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