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製菓部に所属する少女“瑞穂”には、片想いの相手がいる。
ただ、サッカー部員ということ以外は何も知らない。
彼はトレーニング中、家庭科室の前を必ず通る。
それは、毎日のその瞬間、目が合わないかをただ祈るだけの
ほんのささやかな、片想いだった。
そんなある日。突然舞い込んだ幸運なキッカケから、瑞穂は彼に自分で焼いたマドレーヌを渡す。
その時かわしたわずかな会話で、彼が甘党だと知った瑞穂は
それ以来、部活で作ったお菓子を差し入れしようと、心に決めた。
始まりは、ガトーフレーズ。
差し入れするたび、少しずつ、彼を知っていく。
だけど同時に、彼との距離とこの片想いの行く末も、徐々に察していく。
お菓子を渡せるだけで、幸せ、……だったのに。
ひたむきな少女の、片想いストーリー。
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