第一章

4/4

9人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
転移特有の浮遊感の後転移が完了する。転移先は学園内の一室だったようで見知らぬ部屋に俺は立っていた。部屋は広々としていていくつか魔法陣が床に描かれていた。 「編入生、こっちだ。」 声がした方を見れば両開きの扉の前に女と男がいた。女…というか、女の子?ブロンドの髪に碧眼の女は少女というより幼女だ。明らか成人していなさそうだが。なるほど、合法ロリというやつか。 男の方はぼさぼさの緋色の髪に黒がかった深紅の瞳でなかなかの高身長だ。猫背気味で死んだ魚のような目付き。咥え煙草が特徴的だ。面倒臭がりと見た。 二人とも見た目だけではわかりづらいが流石国立魔法学園の教師か、かなりの手練れだ。 「私は一年S組の担任のステラ・シュルフ。こう見えてちゃんと成人してるからな!」 「え、嘘っ!?」 「教師なんだから成人してるに決まってるだろ…。」 ルイスは素直に驚いていてステラ先生にジト目で見られていた。身長は大体百四十五センチくらいだろうか。隣に背の高い男が立っているから余計に小さく見えるな。 「あー俺ぁカイザ・フェルド。一のAを担当してる。」 「よろしくお願いします、カイザ先生。俺は、」 「そんなことより早く行きましょーよ。自己紹介なんて歩きながらでも出来るじゃないっすか。」 ルイスの言葉を遮りそう言えばそれもそうだなと先生達は歩き出した。ちなみにルイスの言葉を遮ったのはわざとだ。ルイスから睨まれるが素知らぬ顔で先生についていく。睨んでも意味がない、とルイスは少し遅れて小走りでついてきた。 「じゃ、改めて…俺はルイス・クロイツです。こっちは、」 「エイト・アンネリース。」 再びルイスの言葉を遮って名乗る。ちなみに俺らの姓は両方偽名だ。マスターの苗字は影響力が強すぎるからな、違う名前を使ったわけだ。ルイスも同じ理由だと思う。 「ほう、そっくりだからてっきり兄弟だと思っていたのだが違うのか?」 「えっと…、」 「ああ、よく間違われるんすけどこいつと血の繋がりはありませんよ。」 「そうなのか?」 口籠ったルイスの代わり俺が返事をする。勿論大嘘。お互い嫌い合っているんだから他人として生活すればいい。どうせギルドでも俺とルイスが双子だってこと知ってるやつなんて一握りなんだから。教える必要なんてない。 ルイスが何か言いたげに俺を見てくるが無視して足を動かした。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加