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「一度しっかり罰を与えないといつまで経っても変わらないんじゃないんですか?」
本人の前でそれを言うのかと俺は思った。ルイスの話に耳を傾けていたマスターは顎に手を当て何か考え込む。少ししてから顎から手を離しマスターは俺を見た。
「エイトはどうだ?何か事情があるなら言ってくれ。」
勿論言うよな、という目に逆らえず、仕方なく口を開いた。
「…あの依頼、ドラゴンの討伐だったんだけどさ。そのドラゴンが出てきた森、立ち入り禁止区域のはずだったのに何故か人がいたんだ。」
「!それじゃ…」
立ち入り禁止区域に許可なく入ったら何があっても本人の責任というのが常識だ。だから大怪我しても俺の責任にはならない。寧ろ責めるのはお門違いだ。
「ふむ…ならエイトは悪くないね。」
ルイスは悔しそうに下唇を噛み締めた。マスターは苦笑しながらルイスを見遣る。
「ちゃんとした情報もないままエイトを責めないようにな。」
「…はい。」
ざまあ、と思いながらルイスを見ているとマスターがまたこっちを向いた。
「でもエイト、お前なら周りに被害が出ないような魔法で討伐出来たんじゃないか?お前の創造魔法なら。」
創造魔法とは。創造属性の魔法のこと。基本属性の火、水、雷、土、風、特殊属性の光、闇以外の希少属性に分類される。属性は一人一つが常識だ。人によっては複数の属性を有することもある。創造属性はその名の通り様々なものを生み出せる属性だ。創造属性なら火属性の魔法だろうが水属性の魔法だろうが関係なく創り出すことが出来る。
「…そうだけど。」
「だったらそうすればいいものを。お前はオーバーランクの創帝だろう。」
「さーせん。」
ギルド所属者はランクがあり、下から順にFからA、S、SS、SSSの九つのランクがある。SSS以上の者はオーバーランクXの称号が与えられる。それから創帝というのは、この国に十人いる帝の一つだ。帝とは属性を極めた者の意で、国民の憧れである。火の炎帝、水の水帝、雷の雷帝、土の地帝、風の風帝、光の光帝、闇の闇帝、光の派生属性の聖(ひじり)の聖帝、俺と同じ希少属性の破壊の破帝、そして俺、創造の創帝だ。ちなみに破帝は俺の双子の兄であるルイスだ。何から何まで正反対だ。
「さて、そんなオーバーランクの二人に丁度依頼が来ている。」
「!指名で来るということは貴族か何かですか?」
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