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「いや…貴族ではない。」
その言葉に二人揃って首を傾げる。指名での依頼、それも帝を指名するとかなりの金がかかる。貴族でないと支払えないような金額だ。一介の国民のはずがないのだが…。
「今回の依頼者は…国王様だ。」
「国王様!?」
「えぇ…辞退してもいいっすか。」
だって絶対面倒臭い。国王の依頼は滅多にない代わりに難易度が異常に高い。俺達はこの国のツートップだ。そんな俺達二人に依頼するなんて余程のことだからやりたくない。と言うより、ルイスと依頼をこなすことが嫌だ。反りが合わない。
「内容はマリア王女の護衛だ。」
「護衛?護衛なら近衛兵がいるのでは?」
「否、国王様が言ってるのは普段の護衛ではなく学園での護衛だ。」
「ああ、なるほど。」
学園に通える年齢で尚且つ実力を持っている者はそういない。だから俺達に白羽の矢が立ったのか。俺達は学園に通っていないから。
「学園に通うことになるが…いいか?」
「はい!勿論。」
「俺は嫌だ。なんで学園なんかに通わなきゃならないんだ。護衛ならルイスだけで充分だろうが。」
二つ返事で了承したルイスとは対照的に俺は拒否した。なんでわざわざ二人にしたんだ。大体俺の評判くらい知っているだろうに。
俺はルイスより強い。ぶっちゃけ最強だと思う。だが周りを顧みないやり方のせいで世間の評判は最悪だ。
「確かにエイトの言う通りだ。だがこれは何が何でも引き受けてもらうぞ。」
「はあ?なんでだよ、めんどくせえ。」
「この国では十五歳から十八歳の子供は必ず学校に通わなくてはならないのは知っているな?」
「ああ。それがなんだ?」
「学校に通っていないのに帝なのはおかしいと言う国の重鎮がいてな。そいつらは無駄に権力を持っているから、二人を帝の座から引き摺り下ろすのも不可能ではない。だからそいつらを黙らせるためにも学園に通ってくれないか?」
「そういうことかよ…しゃあねえな。だが条件がある。王女とは違うクラスにしろ。」
「な…それじゃ依頼を遂行出来ないじゃないか!」
「知ったことか。王女と同じクラスだなんて死んでも嫌だね。」
「仕方ない…。その条件を飲もう。」
渋々といった体でマスターは言った。
さっき片付けた依頼の報酬を受け取りギルド内にある自室に戻ることになった。
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