序章

7/8

9人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
強い魔獣(魔力を持った獣。下級、中級、上級、最上級でこの場合上級の魔獣がいる)が多い森の奥深くに捨てられた。どうにかして森から出ようとしたが、そこで上級魔獣、ダークウルフの群れに襲われた。大型犬くらいの大きさで黒い体毛に燃えるような赤い目、猛毒のある牙と角が特徴の狼の魔獣、と本で得た知識が頭を駆け巡った。今の俺達はまともな魔法の一つも使えない無力な子供だ。相手のダークウルフは少なくとも十頭はいる。逃げるにも囲まれていて、どう足掻いても逃げられない。 万事休すか、とルイスと身を固くして直に来るだろう痛みに耐えようとした。しかしそこに救世主がやってきた。マスターだ。マスターはダークウルフの討伐をしにきたそうで、あっという間にダークウルフを全滅させた。 その後マスターは俺達が捨て子だと知ると俺達をギルドに連れ帰り養子として迎えてくれた。マスターは魔力なしでの戦い方や生きる術を教えてくれたり、色んな知識を授けてくれたり、実の家族のように扱ってくれた。 ある日、俺だけは魔力が少しあったから魔法を教えようということになり、マスターから魔法を教わった。そこで俺に特殊な能力が備わっていることが判明した。 魔力は空気中に存在するマナと呼ばれる力が元になっていて、体内にある魔臓というマナを溜め魔力に変換する特別な臓器で魔力を作る。魔力のある者は皆この臓器があり、魔臓内の魔力しか魔力は使えないのが常識だ。しかし俺は空気中のマナを魔臓に送ることなく、直接魔力に変換しその魔力を使うことが出来た。それはつまり空気中にマナがある限り魔力を延々と使い続けられるということだ。マナはこの世界の空気に必ずと言っていい程ある。俺はある意味無限の魔力量を誇る訳だ。恐らく転生特典だろう、と俺は思っている。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加