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‥と、さも呆れ疲れした様子で珠里夜が云ったこの内容は全て二人の留守中に起きた事実だったが、しかし、こうなった大元の原因は視えない力によるものであると、彼女は知っていた。~…‥そぅ、これは全て彼等選ばれし四季神達の本来の運命を抱く歯車が起こした業なのだ、と。
《しかし、天帝の許可書付きで来られた以上、妖怪の私に権限はありません。だから…冬、春を頼みます》
「はい、姉さん。」
運命とは、ただそこに有るものでは無い。
善悪を重ねる事で変わっていくだの、成長や経験に伴った選択をする過程で様々に変化するものだと囁かれる事が多いが、実はそんな生易しいモノでは無い。
その者の最終的運命とは生まれ出た瞬間からある程度決まっているのが正解だ。だが、最終的運命に辿り着くまでの間は個人個人によって大きく異なり、生を受けた直後から辿り着いている者も居れば、半生を終えてからの者。生を終える間際。という者も居る。
つまり早い話、ユキ。陽菜。夏神の三名の四季神は天界中立最上級神資料保存館に保存されているとされる予言書に記された三名の四季神である為、生を受けた直後から辿り着く最終的運命のレールに乗っていたのだ。が、そうはさせまいと少々トッピングを施し、彼等の出会うタイミング。互いに恋心などの気持ちが芽生える時期などを本来のモノから少しだけずらし、終わりの無い永遠のラブストーリーが紡げるように現在も細工中なのだが、僅かなズレを取り戻そうとする電車が無人駅や途中の進路で加速するように、運命も彼等を本来のレールに乗せようと視えない強力な力を駆使して来たのだろう。…だが、珠里夜に云わせれば、こんな事はとっくに予測済みだ。
《あと六日あるから、それまでは冬も好きなだけ家に居て良いわよ。》
「ありがとうございます」
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