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深夜二時。熱も下がり、鼻水も大分治まって全体的に楽になった陽菜が…ふ、と眼を覚ましてみると、自分が寝かされていたベッドの空きスペースにかなり大きなプレゼントの包みが置かれていた事を知ってとても驚き、これをくれただろう人物の名前を呼ぶ。
【ユキ。】
だが、返事が無い。
【~もぅ!】
と、いう事は、あんなに散々口を酸っぱくして云っておいたのにも関わらず、興奮と恥ずかしさのあまり急に目の前が真っ暗になってしまった自分だけをここに返して彼は単身隠れ家に戻ってしまったのかもしれないと思った陽菜はプレゼントを開ける前に彼に文句の一つでも云ってやろうと寝かされていたベッドから抜け出し、少しクラクラするのを我慢して床に足をつけた瞬間、寝ていると決めつけていた珠里夜から声を掛けられる。
《良い子はまだ寝ている時間です。トイレや水飲み以外のバカな目的でベッドを抜け出そうとしているのは何処の馬鹿です?》
【お姉さまっ!?】
自分に対し、彼女がこんなモノの言い方をするなんて、余程虫の居所が悪くなる出来事が起きた後なのだろう。と、勘や洞察力が人並み以上に鋭い陽菜は瞬時に気付いたが、でも…。
【お願いします、ちょっとだけ‥あの‥‥】
ユキを呼んで来たらすぐ寝るから!と伝える前に、陽菜は生まれて初めて珠里夜からハリセンの洗礼を喰らう事になる。
《お黙りクソガキっ!!》
‥っ、~スパァアンッっ~と見事な音を響かせて暗闇の中にハリセンの洗礼音が大きく広がった。
《んな事だからいつまでたってもナヨナヨした少女面なんじゃねぇか!お前は冬なしじゃ生きられん腐った野郎か!?だから浮気や疑いを宿した曇った眼を冬に向けてんのかクソ野郎!》
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