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「お前、持って行け」
私に渡されると思っていた袋は、なぜか雅紀さんの手の中へ。
「え、いいですよ」
慌てて止めようとしたけど。
「ええよ、持っていくわ」
ひょいと袋を小脇に抱えて、雅紀さんはお店を出てしまった。
慌てて追いかけると、雅紀さんは少し先で待っていて。
「あっち?」
猿沢池のほうを指さした。
私がこくりと頷くと、すたすたと歩き始めた雅紀さんを小走りで追いかけた。
「あの、持ちます」
「ええよ。春ちゃんの店まで持って行くわ」
雅紀さんはニコッと笑って。
「そのかわり、手繋ご」
あっさりと私の手を攫った。
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