真夜中の賓客

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陛下。 フランスには、国王陛下も皇帝陛下も、もういらっしゃいません。 かの王妃様は、八十年以上も前に断頭台の露と消えました。 貴方様の目には映っておられるのかもしれません。 ですが、それは幻でございます。 贅を凝らした晩餐は今宵も手をつけられることはありませぬ。それは夢の中の語らいでしかありませぬ。 使用人たちも怪しみ始めております。どうか目を覚ましてくださいませ。 敬愛してやまない陛下。 戦を嫌い、平和で美しい世界をこよなく愛される陛下。 今、おいでになるのは夢の城ではなく、現実の貴方様が統べる国なのでございます。
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