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「うん……まぁ、そうだね」
たどたどしくも、二人の言葉には納得する部分が大きく、まゆらはそう答えた。
「折角来たんだもん。京ちゃんもハロウィン楽しもうよ」
「……かしこまりました。お嬢様がそう仰るのなら」
彼女たちの押しに負け、京介はバサリとマントを羽織ると、ゴールドのアンティーク調の装飾品をあしらった留め具でそれを襟元で一つに合わせた。
「これで宜しいでしょうか?」
そして顔を上げ彼は三人に尋ねた。
多少恥じらいがあるのか、彼の笑顔は何時もと違いほろ苦さを感じさせる。
それすら絵になり、彼女たちはため息混じりに呆けてしまい、返答出来なかった。
門をくぐり、庭を抜け、次第におとぎ話の中に入っていくような感覚の中、屋敷へと足を踏み入れた。
豪華なシャンデリアの下を通り、正面の大階段を登る。
会場となる二階の大広間の扉の前には、バルーンアートのジャックオーランタンがウェルカムボードを持って迎えてくれていた。
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