君の瞳に映りたい。

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「お母さん、今日は夕飯食べて行くでしょ? お寿司買っておこうか。」 しばらくの沈黙を打ち消すように、瞳が言った。 「今日はお父さん早く帰ってくるから、私も帰らなきゃいけないの。またお父さんと2人で食べに来るわ。」 「そっか、わかった。」 千恵美さんは、瞳の頬を撫でると優しく微笑んだ。 「無理しちゃダメよ。なんかあったら、いつでも帰っておいで。」 瞳の目には、かすかに涙が滲んでいた。 「うん。」 安心したように微笑んだ瞳を見て、知恵美さんも安心しているようだった。 「じゃあ、そろそろ帰るわ。」 千恵美さんは足元に置いていたバックを肩に掛けた。 瞳は千恵美さんを玄関まで見送る。 知恵美さんがいなくなった後、 瞳は空になった2つのグラスをキッチンに持って行く。 洗おうとスポンジを手に取ろうとした時、くるみの泣き声が聞こえた。
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