第三章 『祇園に響く鐘の音は』

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そこもまた、更にたくさんの人が集まっている。 その灯篭の横には『白朮火(をけらび)』という看板。 集まっている人たちは『縄』のような物を手にしていて、それに火を点けている。 「をけら詣り……ですか?」 ポカンとしていると、ホームズさんは境内にいる係の人から縄をもらって来て、スッと私に差し出してくれた。 「はい、この吉兆縄に火を点けて、その火を家に持ち帰って神棚のロウソクに火を点けたり、雑煮を炊く火種にすることで無病息災を願うものなんですよ。ちなみに火が消えてしまっても、この縄は御守になるんです」 「へ、へええ、そんな行事があるんですね。知らなかった」
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