第二章 『聖母の涙』

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「そうなの。ホームズさん、『腹黒って見抜かれたらどうしよう』なんて言ってて」 そう言う私に、香織はプッと吹き出した。 「それは大丈夫やろ。うちのおかんかて、ホームズさんのこと『素敵な人やったね』なんて言うてたし」 「そう言う香織は、ホームズさんのことを警戒してるじゃない」 「私はほら、ホームズさんに犯行を暴かれた側の人間やから、そん時の恐怖みたいなもんが残ってるって言うか。 あれがなかったら、普通に『素敵な人』って思ってたかもしれへん」 「犯行って」 香織の言葉に思わず笑ってしまう。
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