第三章 『祇園に響く鐘の音は』

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――― ――――― ―――――――― 「――どうぞ」 大きく開けてくれた、家のドア。 『葵さんに、うちから見える八坂の塔を見せてあげたかったんです』 そう続けられたホームズさんの言葉に、私は抗うこともなく頷いた。 ホームズさんの言葉通り、マンションは本当にすぐ側にあった。 ダークブラウンの煉瓦のような外壁がモダンな、景観を損なうことのない落ち着いた雰囲気のマンションだった。 ホームズさんが店長と住む部屋は、そのマンションの最上階にあった。
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