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やがて、ホームズさんはコーヒーを淹れてくれて、二人ソファーに並んで座って飲んだ。
「苦くないですか?」
「覚悟してたので、大丈夫です。思ったよりもまろやかで。
ホームズさんは最初から、ブラックコーヒーを美味しいと思って飲んでたんですか?」
「いえ、思えば最初は、大人ぶったやせ我慢からでしたね。
ビールやブランデーもそうです。
そうしていく内に、美味しさを感じるようになる。
大人になるって、そういうことの繰り返しかもしれませんね」
「あ、確かに。わさびやキムチとかもそうですよね」
クスクス笑って頷いた。
本当に、大人になるって、そういうことの繰り返しかもしれない。
そうして、酸いも甘いも知っていくんだろう。
でも、急ぐ必要はないと、
ジックリでいいとホームズさんは言ってくれたんだ。
それはきっと、すごくありがたいことなんだと思う。
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