『あの日』

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『彼』とは気が合った。 沙樹に足りない部分は『彼』にあって、 いつも『彼』が補ってくれた。 逆に、冷静で優れた判断力を持つ沙樹のことを、 『彼』はいつも尊敬してくれた。 親からは、後々沙樹が継ぐべき家業のことを 口うるさく言われ始めた時期だったが、 それより彼らと過ごす時間の方が大事だった。 むしろその能力が原因で、 沙樹は寂しい小学時代を送る羽目になったのだ。 むしろ能力(ちから)も家業も嫌厭していたし、 鬼に対する知識など皆無に等しかった 今思えばこれは、反抗期の一種だったのかもしれない。
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