《第2章》

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『帰ろっ!ミロ』 にゃ~にゃ~…と鍋の方を向いて鳴き続けるミロには可哀想だけど私は、歩き始めた。 『あの~…うどん茹でますから食べていきませんか~?』 サンダルを履いて通路に出た菊地さんが歩く私に呼びかける。ううん、とばかりに首を振り『いりません』の返事をする。 『せっかく言ってくれてるのに失礼よ~』 と松本さんの声がするけど私は家へと歩いて行った。 その夜の夕食時にお父さんに聞いてみた。 『菊地さんって?』 『お父さんの会社に来る取引先の若い社員だよ』 『前に聞いたよ。っていうか昼間からかつおぶしの匂いさせて、ミロが私の部屋からマンションの2階に行ったんだから』 『(笑)猫だから仕方ないよ』 『私はあの人達には関わりたくないのに』 『良い人達じゃないか、なんでなんだ?』 『松…ーー何でもない。とにかく行きたくないの』 『菊地さん良い人だぞ』 『なんでも』 ごちそうさま、といわんばかりに食器を重ね台所の流しに持って行き洗ってる私。 『いつも流しには持って行くけど…そのままだったわねぇ』とお母さん。 『食べた食器くらい洗っても良い年だぞ』とお父さん。 言わないで…とばかりにサッサと洗って2階に上がる私。 『何かあったのか?美和は』 『最近カリカリを食べてるミロのとなりで、ため息ついてる事があるわね』 『思春期だからか』 そんな会話をされてるとは知らずに…。
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