《第2章》

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また1週間が始まる、はっきり言って嬉しくはない。 放課後いつもの風景、そして私はまた頼まれ掃除をやっていた。 今日は、クラスでも『掃除代わって』と言いそうにない感じの控えめ女子が『塾に遅れそうなの』って言ってきた。 私って何なの?みんなが言うようにクラスの便利屋さんなの? 床を拭きながら涙がおちてきた。 あの人は言わない、この人は言いそう…って決めつけていた私。言いそうになさそうな控えめ女子から掃除を頼まれて、【便利屋さんのあだ名】が私の頭を占める。 『締め切りも近いし、今回は特別だぞ』 そう言って顧問の先生は部員が捨てた失敗した原稿用紙が一杯のごみ箱を2つ両手に持ち部室を出る。締め切りとは、部員で作る冊子の事で各自みんな締め切り前には一言も喋らずペンを走らせている。 今から書くのは私の知らない出来事であるーー。 ↓ 顧問の先生がごみ箱を持ち、ごみ捨ての焼却場に歩いてく途中…校庭の隅で男女のツーショットを見かけた。 『良いのかよ、おまえ掃除当番だって言ってたじゃん』 『良いの良いの、クラスに便利屋さんいるし』 『便利屋さん?…って聞いた事あるけどマジだったの?掃除さぼって放課後ダラダラデートしてたって誰かに言われるの嫌だからな』『大丈夫だって、誰にも見つからなきゃ良いじゃん。それにもう学校出るし。ゲーセン行こ』 そんな会話をかすかに耳にした先生はチラッと遠くにいる2人を見て名札を確認した。 私は、みんなに追いつこうと必死に描いていた。みんなが帰りいつものように延長時…先生が言った事にショックを受ける。 『吉井のクラスに酒井って女子はいるか?』 『いますけど』 今日、塾に遅れそうなのって言ってた女子は酒井さんだ。 『ごみ捨てに行く途中、校庭の隅にいたぞ』 『塾に遅れそう…って』 『嫌なら掃除は断りなさい』 先生との会話が頭から離れない!酒井さんは塾に行ったんじゃなかったの!?
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