種の在りか

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「そうだよ、怒ってないで食べよ。 お姉ちゃんの大好きなシャルモンのケーキだよ」 「……知ってる……」 ちょっとその箱に心を動かされていた。 だってあたしの大好きな洋菓子屋さんのケーキ。 そういえば最近お目にかかっていなかった。 「マジで、ぽんちゃんおいしーっ」 「よかったぁ」 あたしを無視して笑い合っている栄とぽんちゃんはまるで兄妹みたいで。 お兄ちゃんが欲しかったと豪語する栄にとって、ぽんちゃんは本当に近しい存在なんだと思う。 あたしなんかよりもずっと兄妹らしい。 「ぽんちゃん、こっちも食べていい?」 「いいよー」 普段口の悪い栄がぽんちゃんには甘えてる……。 そんな栄とまったく違和感なくうちのリビングで寛いでいるぽんちゃんが無性にムカツいた。 この人は本当に誰とでも仲が良いんだな。 ……あたし以外、だけど。
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