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ふ、不覚……。
ヤツの靴、玄関にあったのか……。
「ケーキあんよー」
のほほんと手を振ってる。
だ・か・ら。
人んちで何してるんだって話よ。
「何でいるのよっ 仕事はっ?」
「今日は交代頼まれて早帰りなんよ。
ねー、さーちゃん」
「ねー、ぽんちゃん」
……まさか。
栄の胸ぐらを掴んで引き寄せる。
「ちょっとアンタが呼んだの?」
小声で栄に耳打ちをするが、まともに答える気などさらさらないらしく。
「知らなーい。あたし呼んでないもーん。勝手にきたんだもーん」
と、目の前のケーキをパクつくのに一生懸命。
ウキーッと目を吊り上げたあたしの肩が後方に引っ張られた。
「さーちゃんを怒らない。
俺が勝手に来ただけ。お気になさらず。
それよりなーちゃんもケーキ食べよ、おいしいよ」
と、見せつけられた箱の中身。
うぐぐぐぐっ。
美味そう……。
やっぱりあたしはぽんちゃんにペースを乱される。
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