きら星 満天に 涼風 秋桜花 (非定形)

2/2
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
<季題> 秋桜花 <季節> 秋の盛り、ただし夜に限定 きら星: 文字通り、煌めく星。 自ら燃焼発光する恒星を念頭にすべきだが、木星等明るく輝く惑星を含めるのも可能(月もまた特例として)。この句では単体または特定の星でなく、数多の星々を指すものとする。 満天: 一般的には天蓋を充満する様。ただしここでの「天」は天蓋のみならず、天空上空はもちろん地面直近の低空まで含意し、地表を離れた広大無辺の空間全てに渡って宇宙と地球を仲立ちするもの、と解釈すべし。 に: 与格の格助詞。 この語に続く述語動詞は不定。上句下段が修飾する主語として、上段のみならず下句上下段各々も併せて機能させ、全空間に渡る描写を成立するため。 涼風: すずかぜ(「りょうふう」も条件付で可)。 この語もまた併せて季題としても好かったかも知れない。夏の涼を呼ぶ風と異なり、些か肌寒いながらも心地好く身を撫で続ける秋風、と解釈可能か。 秋桜花: コスモス。ギリシャ語の「κοσμοσ」、即ち秩序・世界・宇宙に呼応。ただし掛詞を特に前提とはしない。 上述「きら星」同様、夥しいばかりに数多咲き誇る花々を想起せよ(一輪咲きもまた悪くはないが)。ここでは、その誇りかな様は天空を貫き、果ては遠く宇宙の彼方にまで及ぶ、と解釈しても強ち度を越しはしまい。 「しゅうおうか」との読みも可能だがこれは字余となる。字余を避けるため「花」を略し「しゅうおう」とするのも好い。和語・漢語・洋語の混淆を味わうも好し、洋語を避けるも好し字余りもまた好し、更に「きら星」を「明星(みょうじょう)」とし全て漢語で詠むのもまた好し。非定形故の趣と併せ、様々な味わいを鑑賞されたし。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!