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「俺達は今度、京へ行く。
お前もついてこい」
断る理由も無く、僕は素直に頷いた。
「よし。
俺は土方歳三だ」
「俺は近藤勇!」
「私は宗次郎です。
と言っても、もう直ぐ沖田総司に変名しますが」
「此処は試衛館。
自分の家のようにくつろいでくれ」
そう言った勇はとても輝いて見えたんだ。
その後、紹介された試衛館の奴等は僕を見て一瞬目を見開いたけど、皆仲良くしてくれた。
しばらくして僕はその理由に気付いた。
同じなんだよ。
僕と勇は。
姿形が。
これで歳の言いたかった事が分かった。
歳は僕に“影武者”になれって言いたかったんでしょう?
……この時には既に悟っていたのかもしれない。
あの“最期”を……。
京に上った後、そのまま残り壬生浪士組となり芹沢派との対立。
新選組となり、甲陽鎮撫隊となり今に至る。
今は流山。
ほとんどの隊士は稽古に行き、此処には僕と歳と勇だけが居た。
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