表裏

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「近藤さん、嘘だろ? 俺に、あんたを見捨てろって言いてぇのか……?」 「そうだ。 静を連れて逃げろ、歳。 これは局長命令だ」 「っ、あんたが俺に命令すんのかよ!」 「あぁ。 静を頼めるのは歳しか居ないんだよ」 そう言って今にも消えてしまいそうなほど儚く笑う勇を見て、歳は悔しそうに下を向いて唇を噛む。 「分かった……。 静は、任せてくれ」 「あぁ、頼んだぞ。 さぁ、静も行「かないよ?僕は」 驚いて目を見開く勇に優しく笑いかける。 「僕は行かない。 僕は影だよ? 影は光を助けるために存在するものでしょ」 「静、まさか……」 「うん。 彼奴等の所には僕が行く。 大丈夫、僕等はそっくりだからバレないよ」 「駄目だッ!!」 勇は拳を握り締めて叫ぶ。 でも、僕は決めたんだ。 これだけは譲れない。 「そんな子供みたいな事を言わないでよ。 第一、相手は肩を怪我しているのが“近藤勇”だと思ってる。 どうせ勇がいってもそっくりさんだと思われるだけだよ」
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