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「歳、勇をよろしくね。
どうやら僕は此処までみたいだよ」
僕の言葉に歳は泣きそうになる。
鬼の副長とはかけ離れてるよ、やっぱり。
「勇は行き倒れてた僕を助けてくれた。
その時から決めてたんだよ、この命は勇の為に使うって。
それに、此処で勇じゃなくて僕が生き残ったら総司に叱られちゃうよ」
其処で苦笑すれば二人は涙を流していた。
「泣かないでよ。
僕は今まで楽しかったよ?
だからこれはそのお返し。
僕が二人が逃げる時間を稼ぐから、二人は生きて」
そう言葉を残し、僕は外に出るため歩いていく。
「「静ッ!!」」
二人の叫びが聞こえる。
だけど僕は振り返らない。
勇……助けてくれたときに言ってた、“武士”って言葉。
あれ、誰より勇が似合ってると思うよ。
いや、勇だけじゃなく歳も、新選組の皆。
あんた達は、誰より武士だったと思うよ。
「新選組局長 近藤勇か!?」
開いた扉の先に居る沢山の新政府軍の奴等。
バレないように笑い、別れを告げる。
「俺が新選組局長 近藤勇だ!!」
さよなら。
勇。
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