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斑晶さんと柔乃さんの関係がそんなに悪くはならないーーと、そう思うのだ。
「……どうして、斑晶さんはこんなボロ……失礼、古い、小屋に?」
どの道失礼だが……おっと、これもデジャヴだ。
笑って、斑晶さんは答える。
「何かさ……こう言う空間が落ち着くんだよね。あのアパートは、やっぱり僕には少し綺麗過ぎると思うんだ」
笑ってはいるが、その声色には少し寂しさが混じっているように聞こえた。
「あの……それはどういうーー」
訝しげに訊く柔乃さんを慌てて制止する。それ以上は、このアパート内では禁句だ。
「柔乃さん、それ以上突っ込むのは流石に失礼ですよ」
「え? いえ、でも……」
「まぁ、気にしなくて良いよ、神鳥君」
ありがとう、とはにかみながら、斑晶さんは僕の肩をポンッと、軽く叩く。
服に少量の土が付いたが、それはいつものことだ。
「……………………」
柔乃さんの鋭い視線が土の付着した僕の肩を射抜いた。
柔乃笑顔は探偵ではないが、陰陽師だ。
これくらいの僅かな情報から斑晶鉱の正体に気付いたかもしれない。
元々、頭は良いのだろうから。
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