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「……なるほど、ですね」
柔乃さんは意味深にそう呟き、無言で僕の肩に付いた土を払ってくれた。
流石は、柔乃さんーー早速、斑晶鉱さんの正体に気付いたのだろう。
「……じゃあ、また今度代わりになるものを持ってきますね。好物は何ですか?」
そう言いながら、まだ若干ぎこちないものの、笑顔を作る柔乃さん。
しかも、代わりにまた何かを持ってくると提案してきたのだーーつくづく、出来た人だと思った(怖がりな一面はこの際見なかったことにする)。
しかし、『こうぶつ』と訊いたのはあまり良くなかったかもしれない。『好きな食べ物』とか、『何か食べたい物』と訊いた方が良かった。
無理からぬことだが……。
「『鉱物』は、水晶かな」
「え?」
ポカーンとした顔で、柔乃さんは斑晶さんを見ていた。正体に気付いていても、この返答は予想外だったのだろう。
堪らず、僕は大声で笑ってしまった。
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