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前に式神を使役している光景を見なかったら、多分、陰陽師だと言うことを信じなかっただろう。事実、まだ信じられないくらいだ。妖怪を怖がる陰陽師って……どんなのだ。
「仕方無いんじゃないですか! だって、怖いものは怖いんだから! 大体、それ陰陽師の適性に関係あるんですか!?」
いつにない剣幕で怒られた。どうやら、怖がりと言うのは、本人にとって一番のコンプレックスだと見た。
「それに、陰陽師としての職務は、妹が上手く継いでくれてますよ」
「妹?」
柔乃さんに妹がいると言うのは初耳だった。そう言えば、まだ彼女とは家族構成とかそんな話になったことがない。
そりゃあ、確かに柔乃さんも人の子だろうから、両親はいるのだろうと思っていたが。
しかし、妹か……。
あのフリーダムっぷりから、てっきり次女か、一人っ子だと思っていた。この人に姉と言うイメージはあまりに合わないように思えたのだ。
「何歳年下なんです?」
「ちょうど、神鳥君と同じくらいだったから、多分、今頃17歳になってるんじゃないですかね?」
しばらく会ってないから曖昧で……、と苦笑しながら、柔乃さんは言う。
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