孤独な世界

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 僕が初めて斑晶鉱さんと出会ってから、親しくなるのに、そんなに時間は掛からなかった。  彼の善良的な性格は、強面と言う大きなハンデをものともせず、信頼関係を築かせたのだ。  そうして仲良くなり、斑晶さんはたまに僕にこんな話をするようになった。半ば愚痴のようなものだったが、いつもお世話になっている分、そうした話は積極的に聞いてあげたくなっていた。  その時、斑晶さんから自分がゴーレムと言う妖怪である事実を打ち明けられたのだがーー今にして思えば、斑晶さんは僕が初めて出会った妖怪と言うことになる。  幸い、それに臆して、逃げ出すと言う最悪な結末は回避したけれど、問題はそんなことじゃなかった。  ゴーレムとは簡単に言えば、土の人形だ。斑晶曰く、彼はその中でも割と人間に寄せて造られたタイプで、力以外で外見も心もほとんどは人間らしい。  だが、外見は人間でも、肉体の作りはそうはいかなかった。  土の人形である以上、彼の指先に神経は通わず、彼の全身に感覚は存在しなかった。  痛覚が無いーーそう言えば、聞こえは良いかもしれない。実際にゴーレムに痛みはさほど意味が無いから。
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