孤独な世界

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 「お気持ちは分かりますが、とりあえず聞いてください」  少し怒ったような表情で柔乃さんが言う。僕が柔乃さんを『陰陽師』と呼んだことに憤りを感じたようだった。  「確かに、ゴーレムに水は危険です。ですが、絶対に駄目な訳じゃないんですよ」  言いながら、粉末のココアを可愛らしい絵柄のマグカップに入れる柔乃さん。2つ用意していると言うことは僕の分も淹れてくれるらしい。  「ゴーレム……まあ、核があって、それを入れる器が土製ならば、それはゴーレムと言えるでしょうね。今は漫画なんかでもゴーレムに色々な脚色を加えて各々自由に定義付けますから、良く分かりませんが」  急に多弁になった柔乃さんに戸惑いながらも、頭の中で話を要約する。  「……言いたいことが良く分かりませんが、こう言いたいんですか? 斑晶さんは実は水が平気だと……」  「平気……なのかは分かりませんが、そんな極端に弱いと言う訳でも無いと思いますよ。確かに、お風呂に浸かるとか無理でも水を軽く浴びる程度なら大丈夫かと……」  その証拠に、とここが大切だとばかりに人差し指を立てて、柔乃さんはーー  「斑晶さん、庭師なんですよね?」
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