孤独な世界

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 どこにあったんだあんなもの。  黒板に描かれていたのは大きな人の絵だった。図鑑で見るような正確な人間の図。  「これ……柔乃さんが描いたんですか?」  「はい。こう見えて、写生は得意なんです」  勉強を教えられて、そこそこに体力もあって、更に絵が上手いって……ほとんど完璧なんじゃないだろうか?  「……それで、これがどうかしたんですか?」  「はい。これは斑晶さんの体を人間で当てはめた場合のものなんですが、ここを見てください」  「そう言って、柔乃さんは赤いチョークで要所を丸で囲っていく。  肘、膝、手首、足首……あれ? これって……。  「関節?」  「そうです。人間で言うところの関節、これは斑晶さんでも同じだと思います」  「?」  理数系が苦手な僕にはちんぷんかんぷんだ。  「……えーと、骨と骨を繋ぐ部分ーーこれゴーレムにも共通してあるようなんです。骨は、岩石で出来ているようで、筋肉は粘土で出来ているみたいです」  「要するに、等身大のフィギュアに魂がある、みたいな?」  「本当に簡単に言えば、そんなところですね」  と、乾いた拍手をする柔乃さん。
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