孤独な世界

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 少し心が折れそうになった。  「それで、この関節も多分、骨代わりの岩石が繋がるように加工された石を使っているんでしょう。更にその上を粘土で覆っている、と……」  教科書で見るような地層の図としか見えない絵を黒板に綺麗に描き込んでいく柔乃さん。  その様子も実に美しかった。  「神鳥君、あなたはどう思いますか?」  「えっ!? ぼ、僕ですか?」  慌てて黒板に視線を戻す。  「何だかこのままでは眠られてしまいそうだったので……ここで一度頭を使ってみてください」  柔乃さんが厳しい。笑顔と言う名前が微塵もマッチしない。  どうやら一度落ちた好感度はそう簡単には戻らないらしい。本当に心がポッキリといってしまいそうになる、が、ここは斑晶さんのために何とか耐え抜く。  「……粘土、ですか」  気になったワードをいくつか羅列していく。  「粘土、関節、水、ゴーレム……」  そう言えば、美術館で飾られている絵が濡れた布と一緒にケースに入れられているのは、絵の具が乾燥して剥がれ落ちないようにするためだって、前に聞いたことがある。  直感的にだが、何となく今の話に関係しているような気がした。
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