0人が本棚に入れています
本棚に追加
「今度何か作りに伺いますよ」
「……え? あの……?」
当惑する僕を放って、何を作ろうかと頭の中でレシピを考える柔乃さん。
僕と彼女で、生活感の差がハッキリと見えたような気がした。
料理をしていると言うだけで、こんなにも人は活き活きとするのかと、改めて思い知らされる。
「じゃあ……お願いします……」
こうして、幸運にも、僕は好きな人に料理を作りに来てもらうと言う、ありがたい約束を取り付けたのだった。
ハンショウ コウ
斑晶 鉱。
主に自室ではなく、大きな庭の隅にひっそり建てられた納屋に暮らしている。
リョウゴウ
身長は、嶺郷さんとほとんど変わらないくらいだ。この2人が『看嫣荘』の平均身長を高くしているといっても過言ではない。
常識人と言ったのも、彼らの中で比較的と言うだけの話で、納屋で生活している時点で彼も十分変人だ。
「こんな古い……いや、古風な納屋で暮らしているんですか?」
「まぁ、そう思いますよね……」
失言とばかりに口を押さえる柔乃さんを見て、思わず苦笑いしてしまう。
彼女の第一印象はごもっともだ。
最初のコメントを投稿しよう!