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僕の場合は、当人の前で、『何でこんなボロ小屋になんか!』とか言ってしまった。
ふと、柔乃さんを見ると、ガチガチに緊張したまま直立不動だった。
「……柔乃さん。大丈夫ですか?」
思い起こせば、柔乃笑顔と言う女性は、今でこそ僕と一対一の会話に慣れているが、ベースは極度の人見知りのはずだ。
以前に、ベロベロに酔った自称・大酒豪に突然抱き付かれたこともあり、それは更に悪化しているかもしれない。
「……っは、はははは。な、何を仰りますですか、神鳥君様。私は、全然、緊張なんかしていませんよ」
予想通り、悪化の一途を辿っているようだった。
無理矢理に平気を装おうとして作った笑顔は、とてもじゃないが可愛らしいとは言えなかった。
名前が『笑顔』だからと言って、別に笑顔が得意と言うわけではないらしい。
……と言うか、そろそろ見ていられないレベルで作り笑いが酷くなっている。
「ちょっ……すっ、ストップストップ!」
慌てて両手で柔乃さんの顔を隠す。ついに助手の僕も顔を見ていられなくなった。テレビで放送されるならば、モザイク加工が必要になりそうだ。
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