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「……何をするんですか、何も見えないじゃないですか」
ぶっきらぼうに言う柔乃さん。やっぱり笑う気ないだろ、あんた。
「無理しないでください。折角の可愛い顔が台無しですから……」
まさかこんな歯の浮くような台詞をこんな形で吐くことになろうとは。
そこで柔乃さんはようやくいつもくらいには笑えるようになった。
うん、こっちの方が断然良い。
「人見知りは……大丈夫ですか?」
確認のために、僕はそんなことを訊いてみる。
「何を言っているんですか? この世に生を受けて以来、私は人見知りなんかしたことがありませんよ」
「……………………さいですか」
根拠は無いけど、大丈夫そうだと思えた。
こうして、ようやく斑晶さんのいる小屋のドアに手を掛ける。
ギィィ……と、今にも全壊してしまいそうなくらい不安な音を発しながら、扉は開いた。
そして、中では、斑晶鉱さんは首無しの状態で倒れていた。
一つ誤解しないでほしいのは、柔乃笑顔は別に探偵ではないと言うことだ。
謎を解ける程の頭脳が無ければ、シャーロック・ホームズ顔負けの洞察力も無い。
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